2017年度 入学式が行われました

沖縄キリスト教短期大学 第61回
沖縄キリスト教学院大学 第14回

入学式が行われました

 

2017年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の入学式が4月1日(土)に挙行されました。

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入学式メッセージ

沖縄キリスト教学院大学
沖縄キリスト教短期大学
学長 友利 廣

 

 この時期の沖縄は、眩しいほどの新緑に覆われ清々しさが漂う季節ですが、本日は生憎の雨模様となっています。このような天候の中、多くの方のご臨席を賜り2017年度沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の入学式を挙行できますことは、誠に慶びに堪えないところであります。

 さて、本学院は今年創立60周年を迎えます。この記念すべき年に入学する新入生は、沖縄キリスト教短期大学英語科71名、保育科126名、沖縄キリスト教学院英語コミュニケーション学科104名の合計301名になります。編入学生13名を加えますと総勢314名が本学院の一員に新たに加わります。皆さんの入学を教職員、在学生一同に代わり歓迎の意を表したいと思います。

 改めまして、皆さんを今日のこの日まで暖かく励まし支えて下さったご両親、ご家族、恩師、学友への感謝の気持ちをひとり一人が胸に刻み、期待に応える努力を惜しまないよう願っています。

 ところで、これから迎える大学生活を実りあるものにするため幾つかのメッセージを贈りたいと思います。

 まず、本日入学を許可された皆さんは、学校教育法で定める学生になりますが、故白川静博士が編纂したユニークな字源辞典の「字統」に拠りますと、学生の語源になる「学(學、斅)」を“教えと学びを包摂したもの”と解説しています。

 「学生」の語源から、大学生の学びに求められていることは、教えと学びの中から知識を叡智へ昇華するものとして理解したいと思います。即ち、“既知の知識群を所与のものとしながらも、それを駆使して直面する問題の掘り起こしと、それらの改善、解決に活かしていく智見の修得者”と言うことです。

 かような考えには、大学生に寄せる期待が発露しており、その期待の大きさを自覚して向上心を片時も忘れず、大学生活を自らの潜在力を開花させるための準備期間として捉え、様々な分野へ果敢に挑戦することを願っています。

 次に、大学を取り巻く環境の変化に触れます。この事実を知っているか否かで、皆さんの大学生活に影響を及ぼすことになる故、しっかりと受け止めて頂きたいと思います。

 米国の社会学者マーチン・トロウは、大学等への進学率が50パーセントを超えた状態をユニバーサル段階と定義しました。この段階では、望めば誰もが高等教育機関における専門教育を享受できるとしています。

日本は2007年にユニバーサル段階(54.7%)に突入しました。但し、沖縄は2016年現在で39.2%です。一方で、急速なグローバル化は国際間の競争を激化させており、持続可能な社会の維持には優れた人材の養成が喫緊の課題となっています。

 大学のユニバーサル化と「教育の質保証」はトレードオフ関係にあります。そこで文部科学省は、大学に「教育の質保証」を大学の裁量とするのではなく第三者機関の審査に委ねることで今日に至っています。係る大学を取り巻く教育環境の変化を新入生の皆さんは認識し、恐れず、侮らずの気持ちをもって日頃の学びと心の鍛錬を心掛けるよう願っています。 

 次に、皆さんの学び舎である沖縄キリスト教学院の創設に至った経緯と「建学の精神」について触れます。

 沖縄キリスト教学院は沖縄で唯一のキリスト教系大学です。学院が創設された1957年4月9日の時代背景は、軍事優先の米軍統治下で沖縄社会が翻弄されていた時期に重なります。龍潭池から程ない場所に佇む首里教会で産声をあげました。その後の学院史については、皆さんがこれから学ぶ講義の中で“自校史”として詳細を知ることになりますので、大切な事に絞り説明します。

 沖縄キリスト教学院の創設代表者で初代学長と理事長を務めた仲里朝章牧師は、凄惨さを極めた沖縄戦の教訓から「国際的平和の島」を標榜すべきとし、これを「建学の精神」に刻み込みました。嘗て、琉球王朝時代の万国津梁の精神に相通じるものがあります。

 資源小国琉球の指導者も平和こそ琉球王国繁栄の礎であることを見抜き、万国津梁国家の構築を実践しました。歴史上これは大交易時代と称され、嘗てない程の琉球王国の繁栄をもたらしたのであります。

 沖縄キリスト教学院の創設者の強い思いは、沖縄が活きる途は平和にこそ求めるべきである、と言うことでした。「建学の精神」ではそれをキリスト教平和主義に求め、沖縄を「国際的平和の島」にするべきとして、担い手の養成に希望を託したのです。

 最後に、本学院の教育は、異文化交流を通して世界の檜舞台で活躍できる人材育成を教育方針にしています。しかし、無防備な異文化交流は大きな代償を払うことになります。用心深さを身に付け大学生らしく振舞うことを切に願います。

 式辞を終えるに当たり、新約聖書のルカによる福音書12章48節の御言葉を皆さんに贈りたいと思います。 

 「すべて多く与えられたものは、多く求められ、多く任された者は、更に多く要求される」。大学教育を受けると言うことはそのような責務を担うことでもあります。

 新入生の皆さんの入学を心より歓迎します。おめでとうございます。

2017年4月1日