2019年度秋季卒業式が行われました

【掲載日】2019-10-8

2019年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の秋季卒業式が9月26日(木)に挙行されました。
本学での学び、友人との思い出を胸に、社会人として歩み始めた卒業生の皆さんの今後のご活躍をお祈りいたします。
ご卒業おめでとうございます。

▽告辞を述べる学長

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▽証書の授与

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<告辞>

沖縄キリスト教学院大学 沖縄キリスト教短期大学
学長 友利 廣

卒業生の皆さん、卒業誠におめでとうございます。また、ご臨席賜っていますご両親、ご家族を始めとして関係者の皆様へ、教職員、在校生、同窓会、後援会に代わり心よりの祝意を表したいと思います。

 この度の秋季卒業式において短期大学士、並びに学士の学位を授与され卒業する皆さんは、沖縄キリスト教短期大学英語科2名、沖縄キリスト教学院大学英語コミュニケーション学科10名になります。12名の卒業生の皆さんは、これまで励まし支えて下さったご両親、ご家族、教職員、そして学友への感謝の気持ちをひと時も忘れず、それぞれの与えられた職務に精励することを切に願う次第です。 

 ここで秋季卒業式の今日的な意義について少し触れて置きます。遡ること、文明開化に迫られた明治期に、時の政府が欧米の近代化の原動力となった教育制度に着目し導入したことが契機になっています。秋季卒業式は彼の国に倣ったものです。その後、わが国の会計年度の括りに合わせ春季卒業が一般化したという事情がありますが、国際化の流れに拍車がかかり、留学制度の普及に伴い多くの高等教育機関は秋季と春季の卒業式を併設して現在に至っています。

 留学制度の展望に関する文部科学省の見解は、中央教育審議会の答申を受けて次のようになっています。即ち、「大学の国際化」の拡充強化を通して「日本人学生、留学生、社会人などの多様な価値観が交叉する中で、自らの考えを切磋琢磨し新たな価値創造」につながる共創環境を育み、ひいては大学の国際競争力を高める、としています。

 この度の秋季卒業式に臨む卒業生の中には、人材養成の潤滑油的制度である留学体験を経てこの場に臨んでいるものもいます。何れにしても、皆さんは学びや交流、多様な経験を通して自身の知性と感性を磨き、視野を広げることに努めてきたことと思います。様々な体験を経て身に付けた現場力を存分に発揮できますよう、期待を込めてメッセージを贈りたいと思います。

 まずは、沖縄キリスト教学院の創立に込めた先人達の思いをしっかりと受け止めて、継承、伝達して頂きたいということであります。62年前の本学院の開校式に臨んだ仲里朝章初代学長の言葉にその思いが語られています。ここで改めて開校の辞を紹介します。

 「曾て太平洋上の孤児と呼ばれた沖縄が今日国際的の島として政治経済文化あらゆる面で一大変化をなしつつあるのは実に不思議な摂理であります。しかし複雑にして矛盾の多い現在の沖縄を国際的平和の島にするには是非ともキリスト教文化が基礎をなさねばならぬことは世界史の教ふる真理であります。そこでわれらは新しい沖縄の建設に直面してキリスト教の精神を身につけた人材の養成が緊要であることを確信してこの学校の設立をしました」と宣言しています。

 琉球弧の一角を占める平和と万国津梁を標榜する島沖縄で、嘗て、この国の不条理の犠牲となって多くの人命が奪い去られた沖縄戦を経て、この地を平和の砦とすることを誓い今に至っていますが、現下、国際政治は至る所で時代の教訓に逆らうかのように、調和と寛容の精神からかけ離れた国家の指導者達によるユニ・ラテラリズムと称される、自国優先の単独行動が勢いを増し、国際関係を閉塞的状況へ追い遣っています。その余波は、ここ沖縄の地ではインバウンド需要の減退として顕われてきています。

 20世紀初頭からアメリカで活躍した神学者ラインホルド・ニーバーは「ニーバーの祈り」で有名ですが、次の様な言葉を遺しています。「時として、新しい真理が誤りの馬の背に乗って、歴史の中に登場して来ることがある」。この含蓄のある言葉には、「新しい真理」には平和を装いながら「戦争」の種を「誤りの馬の背」に乗せて登場することがあるとして、警戒を怠ることがないよう警鐘を鳴らしているのです。 

 ニーバーが投げかけた言葉、そして、仲里朝章初代学長の戦争体験とそこから掴み取った平和への強い思いを共有することが、我々に課せられた務めではないかと思っています。

 次に、皆さんには事を成し遂げると言う気概をもって人生を歩んで頂きたいと思います。私達は意識することにより、必ずや遭遇するであろう試練を乗り越える経験知を磨くことができます。経験知は思考と行動の有機的繋がりを通して目標実現を手元に手繰り寄せることに役立ちます。

 本学院は、平和の担い手足らんとする精神的基盤と専門的知識をより能動的に生かすものとしてリベラル・アーツを位置づけ、有為な人材を養成する学問体系を提供しています。皆さんには、経験知を携えて、本学院のその思いを体現し社会の様々な舞台で活躍する際の礎にして頂きたいと思っています。

 結びに代えて、聖書の知恵の書6章17節から18節に記されたみ言葉「教訓を真心から望むことが知恵の始まりであり、教訓に心を配ることは知恵への愛である」を贈ります。皆さんの人生の大航海には様々な試練が待ち受けています。この聖書のみ言葉を糧として、また逞しい精神をもって自らの可能性を切り拓いて頂きたいと思っています。皆さんの健闘を祝して学長告辞と致します。

2019年9月26日

▽集合写真

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