2021年度 秋季卒業式が行われました

【掲載日】2021-10-15

2021年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の秋季卒業式が927日(月)に挙行されました。
本学での学び、友人との思い出を胸に、社会人として歩み始めた卒業生の皆さんの今後のご活躍をお祈りいたします。
ご卒業おめでとうございます。

 

 

 

証書の授与

 

<告辞>

沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学を本日卒業される皆さん。

ご卒業おめでとうございます。コロナ禍によって、対面で卒業式を行えるのかどうか危ぶまれましたが、多くの制約の中、本日このように式典を持つことが許され感謝です。

卒業生を物心両面で支えてこられましたご家族、ご親族の皆様方に心からのお祝いを申し上げます。コロナ対策の為にご一緒していただけないので心が痛いです。しかし、共にこの式典を喜びたいと思います。

 

卒業生の皆さんは、ようやく、勉強、学びを終えることができるということで、ほっと思う人もいるかもしれません。しかし、本当に卒業をするということは、学びを終了させると言うことでしょうか。私は、そうではないと思います。学びは、結局一生のものだと思います。

英語には、卒業を意味する言葉が二つあります。GraduationとCommencementという言葉です。特に米国では、卒業式のことをCommencementと言います。

このCommencementは、「卒業」と共に「始まり」と言う意味を持っています。大学を卒業することによって、人生の新しい局面が「はじまる」。大学の教育を受けた者が、これからどのように新しい人生を歩み始めるのかという、出発の意味を感じさせます。

 

人生は積み上げです。知識や経験もまた、積み上がっていきます。卒業生の皆さんが大学で学んだこと。友人に出会ったこと。教員との話で感じたこと。アルバイト。留学、海外研修で出会った人々、趣味、それらの何一つとして、無駄になることなく皆さんの人生を積み上げていくものであると思います。その他、辛いこと、嫌な経験、素晴らしい経験、感動したこと。学んだこと。交流をしたこと。すべてを背負って皆さんは新しい歩みを始めるのです。

この2年、4年という歳月、あるいはもっとかけた貴重な時間は、みなさんにとって何だったのかが、目に見える形でも、見えない形でも、今から始まる社会でのあゆみに生かされることでしょう。

 

内村鑑三という近代日本を代表する偉大なキリスト教思想家のことをご存知でしょうか。「一日一生」という書物を残した人です。内村はそこでこのようなことを言っている。

「一日は貴い一生である、これを空費してはならない。そして有効的にこれを使用するの道は、神の言葉を聴いてこれを始むるにある。(・・・もし、真摯に生きるならば)よし敗北のごとく見ゆるも勝利たるやうたがいなし。そしてかかる生涯を終生継続して、一生は成功をもって終るのである。」

 

内村鑑三の影響力は、宗教的にも、教育的にも、思想的にも非常に大きなものでした。内村の弟子には、東京大学出身者など多くいるのですが、南原繁と矢内原忠雄という二人の東京大学総長を排出しました。南原繁は戦後の「教育基本法」を作った人として有名です。また、矢内原忠雄は戦前の軍国主義の時代に民主主義的な演説を行って東京帝国大学辞任に追いやられますが、戦後復帰して東京大学総長になった人物です。このような人々を育てた内村は、教育者としても、キリスト者としても、平和主義者としても非常に大きな思想的影響を残した人物です。

しかし、その生涯は実は、大変なことの連続でした。彼は、現在の東京大学教養学部(第一高等学校)の英語教師をしていた時、教育勅語が煥発されたのです。キリスト教信仰の理由から、これに対する「拝礼」を拒否し(「不敬事件」)一高を追われて困窮した経験をもつ人です。また、その最中に妻の加寿子さんを病気で失うのでした。彼は、自分の信じる道を歩み続けた人です。今日、内村鑑三の拝礼拒否は日本の信教の自由のための大きな行動であったことが高く評価されています。

内村は言います。「一日は貴い一生である、」

卒業生の皆さんは、是非とも、これからの人生を、多くの人々と共に、そして、この学舎で学んだことを基礎に積み上げて頂きたいと願っております。

皆様の「新しい人生の始まり」に学院の真の造り主、イエス・キリストの神が共におられますように、そしてこれからの歩みを祝福されますようにお祈りいたします。

                                     

                                                                                                                                              2021年9月27日

                                                                                                                                         

沖縄キリスト教学院大学   沖縄キリスト教短期大学
学長 金 永秀