2021年度卒業式・修了式を挙行しました

【掲載日2022.03.25】

2021年度沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の卒業式、沖縄キリスト教学院大学大学院修了式を3月15日(火)に挙行しました。

【告辞】

2021年度、沖縄キリスト教学院大学、沖縄キリスト短期大学をご卒業の皆様、ご家族の皆様おめでとうございます。コロナ禍の中で卒業式を行えることは本当に幸いなことです。

コロナのために、皆さんは随分とご苦労なさいました。特に短期大学を卒業される皆さんは、私が新しく学長になった時に新入生になりました。それは、ちょうど新型コロナが猛威を奮い始めたころでした。従来通りの入学式も行うことができず、学科ごとの入学式を行ったのが昨日のことのようです。あれから2年、コロナ禍によって世界でも日本でも経済状況が悪化して、多くの人々の生活が大変な状況に陥りました。他の学年の人々よりも「運の悪い」年に入学したという人もいることでしょう。そういう意味では、私も「運の悪い」学長なのかもしれません。

本日、お読みいたしました聖書の箇所は伝統的に本学院の卒業式で読まれてきたイエス・キリストの譬え話です。お百姓さんが種を蒔いた物語です。様々の運の悪い種が登場します。舗装された道端に落ちた種は鳥に発見されて食べられました。

石だらけの土地に撒かれて根を生やすことができない「運の悪い種」。

荊が邪魔になって育つことのできない「運の悪い種」もいます。

一方、良い土地に撒かれた種もあるのですが、よく読んでみますと100倍に実を実らせる種もあれば、60倍しか実らせることができないものもあります。たった、30倍にしか育つことができない種もあったというのです。

私達は、確かに通常の年度の学生達に比べるならば運が悪いのかもしれない。しかし、世界に目を向けるならばどうでしょうか。

今から、約3週間前、2月24日から始まったロシアのウクライナ侵略戦争によって二千人以上が亡くなり、その何千倍の人達が瓦礫の街で死の恐怖に怯えている。昨日で260万人以上の人々が難民になったということです。大学で学ぶどころか、家・故郷・学校・職場を奪われ、命まで奪われた人たちのことを覚えます。また、ウクライナ以外にも、ミャンマー、シリア、アフガニスタン等の国々でも命の危険と抑圧を受けている人たちがいる。その人たちは、私達に比べて「運が悪い」のでしょうか。

沖縄キリスト教学院の創設者、仲里朝章先生もまた、最も運の悪い人の一人でした。ウクライナと同じように沖縄が戦場になった時代、自分の教え子を戦場に送り、自分の娘を「ひめゆり」部隊で戦地に送らなければならなかった。娘さんも教え子たちも戦場で亡くなったという経験をした人です。最も運の悪い人であったと言える。

しかし、この仲里先生の懺悔の祈りと思いからこの学院はできました。その思いは、このような悲惨さを2度と起こさせないという決意の種に変えられました。その祈り、その思いに協力する人々が現れました。最も運が悪いと思われた沖縄の地に、その懺悔の思いの種が撒かれました。かつての敵であった米国人宣教師のクライダー先生は、自分の私財を投げ打って大学に捧げました。そして芽を出したのが沖縄キリスト教短期大学・学院大学です。卒業生の皆さんは、良い地に撒かれた種です。種は必ず成長いたします。卒業する皆さんは、この学舎で培ったものを得て芽を出し、育ち実りある人生の歩みを社会の中で、人々とともに歩んでください。

コロナの状況の中であっても、どのような境遇にあっても皆さんは良い地に撒かれた種です。努力し、祈り、励むなら、皆さんに協力し、力を貸す人も現れます。

卒業生の皆様方のこれからの人生のあゆみが、イエス・キリストの神によって祝福を受けますようにお祈りいたします。卒業生の皆さんの頑張り、皆さんの学び、皆さんの思い、祈りが100倍にも60倍にも30倍にも実を結ぶ人生でありますように。

チバリヨー!

 

2022年3月15日

学長 金 永秀

 

【卒業式の様子】