2022年度 秋季卒業式が行われました

【掲載日】2022-09-28

2022年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の秋季卒業式が9月26日（月）に挙行されました。
本学での学び、友人との思い出を胸に、社会人として歩み始めた卒業生の皆さんの今後のご活躍をお祈りいたします。
ご卒業おめでとうございます。

▽証書の授与

＜告辞＞

沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学を卒業される皆さん、ご卒業おめでとうございます。併せて、卒業生を物心両面で支えてこられましたご家族、ご親族の皆様方に心からのお祝いを申し上げます。

卒業生の皆さんは、この大学、短期大学での学んできたことで今日の日を迎えることになりました。これで、学びを終えることができると思う人もいるかもしれません。しかし、卒業をするということは、学びを終了させることではありません。社会に出ることになった皆さんは、社会に出たならば、社会人としての学びが待っている。親になったなら、親としての学びを続けることになります。結局学びは、一生のものだと思います。そういう意味では、今日の卒業はこれからの新たな人生の学びのスタートの日であると言っても良いと思います。

本日、私たちが式辞の最初に読まれた聖書箇所マルコ福音書４章は、伝統的に本学院の卒業式で読まれてきたものです。イエス・キリストによって語られた譬え話、種蒔きの物語です。「種蒔きをした人」とは、神様のことです。蒔かれた「種」とは私たち一人ひとりということになります。この譬え話の意味は、神が私たち一人ひとりに生きる意味と使命を与えてこの世に送られたということです。卒業される皆さんは、神によってこの世に送られる存在です。自分の人生の意味を考えてたゆまず歩んでください。

生きるということ、使命ということから、私は、2ヶ月ほど前に亡くなった一人の人を思います。本学院の３代目の学長を務められた金城重明先生のことです。金城先生は今年の7月19日に89歳でご逝去されました。先生は、渡嘉敷島で生まれ育ちましたが16歳の時に、沖縄戦が始まります。島に米軍が上陸した時、当時の日本軍は住民を集めて手榴弾を渡して自決をする命令をしたのです。金城家に渡された手榴弾は爆発しなかったのですが、金城先生はこのことで家族に手をかけ、死に至らせなければならない状況に追い込まれてしまう。その絶望的な苦しみはどれほど重く、大きいものだったでしょうか。何度も自殺をしようとした。その苦しみの中で金城先生は聖書を通して知ったキリストによって救われたのでした。神の赦しの確信を得た金城先生は、東京の青山学院大学で神学を学んで牧師になります。大学での先生は、毎日、１０数時間以上の勉強を続けました。先生の机が置いてあった畳は、先生が長時間座ったので、お尻の形でそのままへこんでいたと言います。牧師になったのち、ニューヨークのユニオン神学大学院に留学、沖縄キリスト教短期大学の教授、そして学長になられました。畳がへこむくらいの、長時間の勉強を支えたのは、何だったのかということを思わされます。それは、キリストに救われ生かされたものとして、キリストの教えをより深く知り、そしてそれを伝えるという使命感がそうさせたのではないかと思います。先生は教員として学長としてキリスト教と平和を教えられました。そして渡嘉敷での戦争体験を証言し続けられました。私たちの大学・短期大学は、金城先生のような方の戦争の痛みと平和の尊さを伝える教育の伝統を持つのです。そのことを強く思っていただきたいと思います。

普通の人は、金城先生ほどの痛みを持つことも、使命感を持つことはないのかもしれません。しかし、本日の聖書の御言葉は言います。皆さんは、誰であっても神によってこの地に蒔かれた種である。卒業後も、社会において使命感を持って生きること。それが小さな歩みであっても、皆さんは実をみのらせる存在となりますようにこれから始まる社会でのあゆみが、主なるイエス・キリストの神の恵みに満ち溢れますようにお祈りいたします。

                                                                                                                                              2022年9月26日

沖縄キリスト教学院大学   沖縄キリスト教短期大学
学長　金 永秀