西原キャンパス(現在)

 首里キャンパスは、敷地が狭いことや法的・物理的な規制等もあり、1983年から約7年の歳月をかけて、1989年に現在の西原町翁長へキャンパスを全面移転しました。
 西原キャンパスは、真喜志好一氏(建築研究室DAP主宰)の設計により、1991年には『日本建築学会賞(作品)』を受賞しています。

西原キャンパスコンセプト

(1)沖縄の伝統としてとらえる「共生の世界と空間」がテーマ

ヤマトとは異なった歴史・文化を背負っている琉球弧に在る、沖縄のアイデンティティーを表す建築であることが設計思想の根底にあります。その空間構造は、古来沖縄にある縄文的な人に上下関係がなく、人と自然の関係がゆるやかな円環状で、家と家の配置も円環状であった世界の構造です。そこで人々が集い祈る和の広場を形成します。
その空間構成の形はサン・ピエトロや修道院にも用いられたものですが、特に沖縄に於いて村むらの広場と集会所の関係や城(グスク)、そして典型的に首里城に見られるものです。そのようなことから、キリスト教との親和性と普遍的な共生の場を形作っていると言えるでしょう。

(2)学科や用途ごとに施設を分散配置するのではなく、全施設を一体としてとらえて集中配置。

①西原キャンパス構想で重視されたのは「心のセンター」、「知のセンター」、「ゆとりのセンター」の三要素です。これが建築空間に一体的に翻訳し直されています。
②開かれた「ゆとりのセンター」としての芝生の広場を中心に学生たちと教職員の親密さを伝統の一つとする大学にふさわしい開放的なキャンパスとして、入学式、学園祭、卒業式の賑わいを中心とする「和の広場」を設け、人の和をシンボライズした動きのある空間を創出しています。
その正面に「建学の精神」を象徴する「心のセンター」のチャペルと「知のセンター」としての図書館を配置し、回りのコードリールや学生たちと教職員が触れ合う半戸外のスペースを一体的な「共生の空間」とします。加えて、北に学生ユニオン、東に事務室、南に教室を配置し広場を一周します。
③「知のセンター」としては、研究ゾーンとしての図書館がキャンパスの中心位置に据えられました。研究室は、落ち着いた雰囲気の中で研究が出来ることに重点をおき、図書館棟に配置しています。 (2004年「四大設置」以後研究ゾーンは北棟にも増設)
④また、図書館の上部に「心のセンター」としてのチャペルが存在することにより、祈りと学びの調和するキャンパスを強調しています。

(3)キャンパスシルエット

キャンパスのシルエットは、開学時の首里教会の六角塔を引き継いだものです。これは、同教会が沖縄戦において廃墟となったことから平和への祈りを象徴すると共に本学がキリスト教信仰を基にした教育機関であることを表しています。チャペルを中心に積み上げた教室群を丘の上の町に見立て、造成前の小高い丘の記憶を重ねてスカイラインをつくっています。

 

建築当時と写真で比べてみました

 
 

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