秋季卒業式が行われました

2018年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の秋季卒業式が9月27日(木)に挙行されました。
本学での学び、友人との思い出を胸に、社会人として歩み始めた卒業生の皆さんの今後のご活躍をお祈りいたします。
ご卒業おめでとうございます。

▽告辞を述べる学長

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▽証書の授与  

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<告辞>

沖縄キリスト教学院大学 沖縄キリスト教短期大学
学長 友利 廣

本日、ここに関係者の皆様のご臨席を賜り、沖縄キリスト教短期大学第23回、沖縄キリスト教学院大学第11回秋季卒業式を挙行できますことは慶びに堪えません。

2018年度秋季卒業式を迎える卒業生の皆さんは、沖縄キリスト教短期大学英語科9名、沖縄キリスト教学院大学英語コミュニケーション学科7名、合計16名になります。改めまして、卒業生の皆さん、卒業誠におめでとうございます。

晴れて卒業式を迎える皆さんは、今日この日まで皆さんを暖かく見守って下さったご両親、ご家族、教職員、そして学友への感謝の気持ちを忘れず、社会の檜舞台で活躍できますことを切に願う次第です。

ところで、国際化の流れの中で秋季卒業式が多くの大学で広く取り入れられていますが、今回卒業する皆さんは、海外留学を終えて帰国し卒業を迎える学生、学費を捻出するために卒業を延ばす学生など事情は様々です。何れの皆さんも何物にも代えがたい貴重な経験をしてきたことと思いますが、これらの経験は皆さんのこれからの人生で必ずや大きな糧となります。

さて、ここで学院の創立記念事業について触れます。
創立60周年を迎えた沖縄キリスト教学院は、昨年度鳩山由紀夫元首相らをお招きし「平和考」と銘打った連続寄附講座をプレイベントとして開催しましたが、今年度はワンアジア財団の助成を得て、国内外から招いた専門家と学院関係者4名を含む15名の講師陣により連続寄附講座「沖縄の平和への道標とアジア共同体」を開催します。

今年度の講座は後期開設のオムニバス科目として半年間をかけて実施するものですが、今回の講座においても鳩山由紀夫元首相には登壇して頂きます。また、世界的な平和学の権威ヨハン・ガルトゥング博士にはスペインの地からスカイプを通して遠隔画像でご協力頂きます。ご存知のように、ガルトゥング博士は、世界の賢人と共に沖縄の不条理とも言える現状に異議を呈し、支援して頂いている方です。

このような企画を創立記念事業として実施するのは、本学院の初代学長を務めた仲里朝章牧師が開学の辞で宣言したことと深く係っています。その言葉は以下のようなものです。

「曾て太平洋上の孤児と呼ばれた沖縄が今日国際的の島として政治経済文化あらゆる面で一大変化をなしつつあるのは実に不思議な摂理であります。しかし複雑にして矛盾の多い現在の沖縄を国際的平和の島にするには是非ともキリスト教文化が基礎をなさねばならぬことは世界史の教ふる真理であります。そこでわれらは新しい沖縄の建設に直面してキリスト教の精神を身につけた人材の養成が緊要であることを確信してこの学校の設立をしました」。

この開学の辞は、キリスト教文化を基層に置き沖縄を「国際的平和の島」にするための担い手である学生に、その精神性を学問の力によって養成し将来に託したいとする宣言でした。

現下、時代に逆行するかのように国際関係が緊張状態に陥っている中、ここで改めて建学の精神の原点に立ち返り、学院創立60周年事業の一環として平和構築への模索を始める決意をしているところです。

この点について今朝の新聞に私は次のように記しました。少し長くなりますがそのまま引用します。

“平和を希求する本学院の建学の精神とは裏腹に、ポピュリズムが台頭する先進諸国では排外主義や覇権主義がはびこって緊張を高めている。平和憲法を擁するわが国にあって、大国主義を否定し善隣外交に徹した福田ドクトリンは影を潜め、ためらいもなく沖縄への過剰な基地負担を強い主権国家の矜持(きょうじ)を顧みない状態が続いている。改めて、平和の在り方を沖縄の地から多角的に考えることの必要性を痛感している。”とし

“紛争や差別のない共通の価値観の下で平和共存を標榜するアジア共同体創生に向けて、沖縄として何ができるか。或いは、アジア共同体創生と本学院が掲げる建学の精神『国際的平和の島』を繋ぐ連結軸に万国津梁の精神を如何に注入するか”を知の拠点としての大学にあって、多彩な専門家の考えを通して共に考え、問題意識の共有の必要性を記しています。

卒業生の皆さんには本学ホームページを通して内容を確認し受講することを勧めたいと思っています。

 次に、沖縄の経済事情についても触れておきます。
昨今、沖縄経済がその潜在力を顕在化させテイクオフ(離陸)し始めています。このことを今年の学長メッセージで指摘しました。その内容は次のようなものです。

「国際経済の潮流が欧米主導からアジア主導へと構造転換する中で、かつて、万国津梁を旗印に大交易時代を築き上げた沖縄が、今再びわが国とアジア経済圏の架け橋となっています。そこには中国という外部要因の影響もありますが、経済特別区に象徴される沖縄側の制度の革新がタイミングよく噛み合った結果であることも忘れてはなりません。両者が相互に影響しあい成長著しいアジアのインバウンド需要を沖縄へ引き寄せ、沖縄観光の発展へ弾みをつけているのです。今一つが、沖縄県の国際物流特区に備わるハブ機能が、わが国のアジア市場における新規分野の開拓に新たな一歩を刻んでいます。

アジアと日本を繋ぐ津梁の志しと強固な経済基盤は、揺るぎない沖縄社会を築き上げるための必須条件です。今将に沖縄はそのような社会へ向けて突き進んでいますが、その担い手となるのが専門的知見と課題発見力、解決力を修得した学生の皆さんです。」として、その一翼を担う卒業生の皆さんへ期待を寄せる一文を認めました。

 以上、述べて来たように卒業生を迎える世界情勢、ひいては国内、沖縄社会を取り巻く状況は皆さんの積極的な係わりを必要としています。沖縄の将来をこれから担う立場にある皆さんはこのことを心に留めて頂きたいと思います。

メッセージを終えるに当たり皆さんが社会のそれぞれの舞台で存分に活躍することを心より祈念し学長告辞と致します。

2018年9月27日

▽集合写真

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