2019年度 入学式が行われました

沖縄キリスト教短期大学 第63回
沖縄キリスト教学院大学 第16回

入学式が行われました

 

2019年度 沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の入学式が4月1日(月)に挙行されました。

メッセージを述べる学長

新入生代表挨拶


 

 

式   辞

沖縄キリスト教学院大学
沖縄キリスト教短期大学
学長 友利 廣

 

 柔らかな新緑に優しく包み込まれたキャンパスに、喜びの声が飛び交う日を迎えました。多くの皆様のご臨席を賜り、本日ここに2019年度沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の入学式を挙行できますことは、誠に慶びに堪えないところであります。

 本年度入学する学生の皆さんは、沖縄キリスト教短期大学英語科63名、保育科100名、沖縄キリスト教学院大学英語コミュニケーション学科88名の合計251名、編入学生11名を加えますと総勢262名になります。皆さんの入学を教職員、在学生一同に代わり歓迎の意を表したいと思います。そして、皆さんを絶えず励まし支えて下さったご両親、ご家族、恩師、学友への感謝の気持ちをひとり一人が胸に刻み、期待に応える努力を惜しまないよう願っています。

 さて、これから皆さんが迎える大学生活を実りあるものにするために幾つかのメッセージを贈りたいと思います。

 まず、大学とはどのようなものかについて説明しておきます。学校教育法で定められている短期大学とは、「深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる」としています。一方、大学については「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」となっています。在学期間の違いを反映したものですが、何れにあっても修得すべきことが記されており、社会で果たすべき役割を想定した内容になっています。

 今一つは、本学が重視する多文化共生の考えについて触れておきます。

 本学が建学の精神として掲げる「国際的平和の島」の考えには、多文化共生主義が貫かれています。そこには学生が海外研修の経験を通して彼の地の文化の多様性を受容して、グローカルな発想と行動の素地を固めることへの期待が込められています。長年に亘る本学の海外留学の取り組みは英国のタイムズ紙が編集する2018年度版THE(Times Higher Education)日本版において、短大を含む数多ある国内の大学の中で25位の評価を得ています。この成果の更なる深化のために皆さんの意欲的な挑戦が必要とされていることを強調しておきたいと思います。

 次に、沖縄キリスト教学院の歴史に思いを致し、目指すべき大学像を皆さんと共に考えたいと思います。

 沖縄キリスト教学院は、沖縄が戦後の復興途上にあった1957年4月9日に、琉球の歴史を色濃く残した首里龍潭池からほどなく離れた当蔵に聳える首里教会堂を仮の校舎に、旧沖縄キリスト教教団(現日本キリスト教団沖縄教区)を設立母体として開学しました。

 初代学長を務めた仲里朝章牧師は学院設立の理由を次にように述べています。

「曾て太平洋の孤児と呼ばれた沖縄が今日国際的の島として 政治経済文化のあらゆる面で一大変化をなしつつあるのは実に不思議な摂理であります。しかし複雑にして矛盾の多い現在の沖縄を国際的平和の島にするには 是非ともキリスト教文化が基礎をなさねばならぬことは世界史の教うる真理であります。

 そこでわれらは新しい沖縄の建設に直面して キリスト教の精神を身につけた人材の養成が緊要であることを確信してこの学校の設立をしました」

 この学院設立の理由書に登場する“太平洋の孤児と呼ばれた沖縄”には、今に続く沖縄の苦悩が滲み出ています。そこから解き放たれるためにはキリスト教文化を枢要なものとして、“沖縄を国際的平和の島”にすべきとした透徹した展望があり、平和国家日本の先導役を果たすべきとした使命感が感じ取られます。

 今少し詳述します。学院創立を定めた寄附行為の冒頭で強調しているのが、本学院は教育基本法と学校教育法の遵守を明記し、キリスト教系大学としての独自の教育方針に「キリスト教精神に基づく学校教育」を行い、「個人の人格形成に努め、社会に有為な人材を育成する」ことを宣言しています。

 ご承知のようにわが国の戦後の歩みは、「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって 再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」とした日本国憲法前文の思いである、恒久的平和国家の構築を教育基本法の平和主義教育に委ねることを決意し今日に至っています。

 現在に至る平和国家日本の姿は将にそこに収斂すると言っても過言ではありません。一方で、沖縄の地にあって、わが国の平和主義を先頭に立って牽引する沖縄キリスト教学院の教育は、教育基本法とキリスト教主義が標榜する平和主義の精神を両輪に行われており、この基本方針に則り今後の歩みを続けて行く所存です。

 最後に、皆さんにコリントの信徒への手紙Ⅱの4章18節の聖句を贈ります。それは次のような言葉で綴られています。「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです」。

 信仰心の本質を語ったみ言葉ですが、私たちの日常に手繰り寄せて考えるに、目にしているあらゆるものは、何れは消え去るものです。しかし、見えないものとしての信仰心は勿論のこと、私たちの抱く他人への思いやりや労わりの心、平和を希求する心は見えないものです。しかし、実際は各自の内なる声として感じ取ることができるものです。皆さんには、この聖句が託すメッセージを胸に秘めて大学生活を過ごして頂きたいと心より願っています。

 以上の言葉をもって式辞に代えたいと思います。新入生の皆さん、皆さんの入学を心より歓迎します。