2019年度卒業式を挙行しました
【掲載日2020.03.25】
2019年度沖縄キリスト教短期大学、沖縄キリスト教学院大学の卒業式を3月16日(月)に挙行しました。
卒業式の様子 告辞を述べる学長
〈告辞〉
2019年度の沖縄キリスト教短期大学第六二回、沖縄キリスト教学院大学第十三回卒業式を挙行できますことは、誠に喜びに堪えないところであります。
ご案内のように、この度の卒業式典は、新型感染症に対する予防のため卒業式全体を簡略化して大幅な時間短縮を行うと同時に、式典会場への参列を学内関係者に限定するなど、卒業生の門出を祝したいとする皆様の強い思いに応えることを大切しながら実施しているものです。関係者の皆様のご配慮に対し、心よりの感謝の意を表したいと思います。
本日の式典に臨んでいる卒業生の皆さん、改めまして卒業おめでとうございます。皆さんは、本学在学中に多くの得難い経験をしてきたものと思います。国際化の最前線にある沖縄にあって、多文化共生は避けて通れないものです。皆さんが海外研修、留学、海外ボランティアなどで得た経験が、沖縄社会を牽引する経験知となることを期待しています。一方で、忘れてはならないことは、学費や生活費を稼ぎながら、学業と折り合いを付け、懸命に学生生活を過ごしてきたものもいます。何れの学生生活にしても、自らの経験を糧として、独立自尊の精神に立ち、それぞれの与えられた場所で、最善を尽くすことを祈念します。
このことを踏まえて、高い志をもって挑戦し、試みることの大切さを記した、第二コリントの信徒への手紙の次のことばを紹介します。「今それをやり遂げなさい。進んで実行しようと思ったとおりに、自分が持っているものでやり遂げることです。進んで行う気持ちがあれば、持たないものではなく、持っているものに応じて、神に受け入れられるのです」。
さて、学長の任期を終えるに当たり、皆さんに託したい思いがあります。
本学院は、沖縄の戦後復興期から今に至るまで、県民と苦楽を共にしてきました。その歩みの中で、脈々と受け継がれてきたものは、学院の「開学の辞」で記している沖縄を「国際的平和の島」にしたいとの思いです。改めてこの精神の重要性を私達に語りかけたのは第一回沖縄県平和賞受賞者で「一隅を照らし」続け、アフガニスタンの難民に寄り添う中で「平和とは実体であり、観念の問題でない」ということばを遺した、ペシャワール会現地代表の故中村哲氏です。
アフガニスタンの地で凶弾に倒れる3カ月前になりますが、中村哲氏を本学院へお招きして現地報告をして頂きました。宗派を超え、現場主義を貫き通し、クリスチャンのあるべき姿を示した氏の生き方は、多くの聴衆に感銘を与えました。皆さんには歴史ある本学院の卒業生としてわが国の平和を牽引するのだという気概を持って頂くことを願っています。
それでは結びに代えて私が大切にしているローマの信徒への手紙第五章三節から五節のことばを贈ります。
「わたしたちは知っているのです。苦難は忍耐を 忍耐は練達を 練達は希望を生むということを」。皆さんがこれから迎える人生という大海原には様々な試練が待ち受けています。柔軟性と逞しい精神をもって自らの可能性を切り拓いて頂きたいと思っています。皆さんの健闘を心から祝し学長告辞と致します。
2020年3月16日
学 長 友利 廣
卒業式の様子(式典前後の写真は、別途掲載します)