「慰霊の日」を覚えて平和を祈るときを持ちました

【掲載日】2023-06-22

 

6月23日「慰霊の日」を迎えるにあたり、学生、教職員一同で平和を祈る時を持ちました。

 

 

沖縄戦で犠牲になった方々の尊い命を覚え、伊波美智子理事長によるお祈り、聖書朗読が全館放送で行われました。


2023年6月22日 学内放送全文


全学慰霊の日祈祷

伊波美智子

 

おはようございます。理事長の伊波美智子です。

 

戦後78年目となる、明日6月23日の「慰霊の日」を覚えて、共に祈りの時を持ちたいと思います。

 

はじめに、聖書のみ言葉に聴きましょう。聖書箇所は「ヨハネによる福音書」13章34節です。

 

あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。

 

しばしの間、すべての戦争犠牲者を覚えて黙祷し、心をあわせて祈りましょう。起立する事の出来る方はお立ち下さい。

 

お祈りいたします。

 

すべての命の源であり愛と平和の源である神さま。み名を崇め、讃美いたします。

 

今朝、私たちは、78年前にこの島で起きた悲惨な地上戦を思い起こし、あのような惨劇がこの地球上のどこにおいても起きないようにと、心を合わせて祈ります。

 

沖縄戦では、約25万人の方々の尊い命が奪われました。沖縄戦の悲劇は、一般住民が地上戦に巻き込まれたことでした。住民が巻き込まれた沖縄戦では、約半数は高齢者、女性、そして赤ん坊や子どもたちでした。

 

空襲、艦砲射撃、米軍上陸によって住む家を追われた人々は、ヤンバルへ、あるいは南部へと命からがら手に手をとって逃げました。梅雨のこの時期、赤ん坊を胸に抱き、幼い子の手を引き、昼間は砲撃を避けて暗い豪の中に潜み、夜は暗闇の中、ぬかるみの泥、時には屍を踏みながら、人々は逃げまどいました。家族や友人を失い、家族を愛するゆえに、その命を奪うという悲惨な体験をされた方々もいます。

 

「戦争はすべてを・・・家も畑も、そして人の心までも破壊する。軍隊は住民を守らない。戦争は人を人でなくする。」 沖縄戦を体験された方々は口をそろえて言われます。

 

わたしたちの大学、沖縄キリスト教学院は、このような言葉に表せない悲惨な体験をされた人々と教会の祈りの中から、戦争を起こす人間の罪に対する神の赦しと平和を祈って生まれた大学です。戦争をしない、させない「非戦の思想」を伝えていくことは、この地に生き、生かされている者として、私たちが受け継ぎ、次の世代に伝えていく使命です。

 

しかし、今、わたしたちのこの島々に、野山を削り、サンゴの海を埋め立てて新たな軍事基地が造られ、近代兵器が次々に持ち込まれています。何のための基地でしょうか。誰を殺すための武器でしょうか。何のために戦争をするのでしょうか。

 

主よ、あなたは、十字架に架かられる前の夜、弟子たちに語られました。

 

あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。

 

あなたは、十字架の血により、私たちの罪を贖い、あなたの愛を示されました。しかし、今なお続く戦争の現実に、この御言葉を実行することの難しさを、覚えます。

 

昨年の2月、ロシア軍の侵攻によって始まったウクライナでの戦争は、未だに終わりが見えません。一日も早くウクライナの地に平和な日常が戻りますようにと祈ります。

 

今日も世界のどこかで争いがあり、尊い人命が奪われ、暴力で抑圧されている人々がいます。故郷を追われて難民となっている人々がいます。また、広島・長崎での核兵器使用の悲惨な結果にもかかわらず、核戦争の脅威は増すばかりです。

 

主よ、わたしたちを憐れんでください。わたしたちはあなたを待ち望みます。平和を求める私たちの祈りに耳を傾け、この島を平和の拠点とならせ、私たちを平和の器とならせてください。

 

あなたの国と義と平和がこの地にあまねくいきわたりますように。主イエス様の聖名によって、このお祈りを御前にお捧げいたします。

 

アーメン


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