【活躍する卒業生】北欧フィンランドで学ぶ

取材日:2021年6月

▲Chris先生の特別講演会で通訳として参加(前列左から2人目)

島袋 里穂
英語コミュニケーション学科 2020年3月卒業|具志川高等学校出身
【進学先】University of Turku
奨学金名称:りゅうぎん海外留学支援事業
派 遣 国:フィンランド
留学期間:大学院2021年度入学(2年間)、今秋より留学
Q1. 本学に入学して良かったと思うことはなんですか。(勉学面、学生生活面)

キリ学に入学して良かったと思うことは、「学ぶ目的」と「目指す自分」を見つけられたことです。

入学時は、英語が話せるようになりたいと思っていましたが、同時通訳や翻訳、社会問題を英語で議論・発信する授業などで、学んだ英語を実際に使う経験をしたことにより、習得が目的なのではなく、仕事やコミュニケーションの「ツール」として英語は必要なのだと実感できました。


▲学生時代からやっていた事務のアルバイトをしながら、英会話の非常勤講師をしています。

私は、学内外の海外研修や語学関連のボランティアなど、「これをやりたい」「こうなりたい」と思い立っては挑戦し、ときには失敗する、そんな忙しい学生生活を送りました。(笑)

授業では、社会のことや、私の生まれ育った島の言語・歴史・文化を学ぶことの楽しさや苦しさを知り、世界に出る前に自分のアイデンティティ、足元に目を向けることがいかに重要であるかを学びました。

親身になって進路相談にのって下さったり、いつでも学びの機会を与えて下さる教員・職員の方々に支えられ、好きなことを好きなだけ学べました。

キリ学での経験を通して、私も次世代の若い人たちの学びをサポートしたい、と思うようになり、大学教育に携わりたいと考えました。その目標を叶えるため、海外の大学院進学を決めました。キリ学に入学して、どうして学ぶのか、どんな自分になりたいのかを、明確にすることができ、卒業後にそれを達成することができました。キリ学に入学していなかったら、今の私はいなかったと思うので、とても感謝しています。

同期で集まる時にも「こんなに素敵な大学で学べて良かった」とキリ学の魅力を再確認しています。

Q2. りゅうぎん海外留学支援事業(奨学金)に挑戦するにあたって大学生活で努力したことはありますか。

りゅうぎん海外留学支援事業の書類選考の際、留学先の教育機関が求める英語力に達していると有利になることがあるので、IELTSの対策に注力しました。私はTOEICやIELTSなどの語学試験がとても苦手で、出願に必要なスコアを取るために、何度も受検しました。沖縄で実施されないテストがほとんどで、何度も県外へ行く必要があり、苦労しました。

選考面接では、「関心のある社会問題は?」と聞かれることがあるので、普段から新聞を読んでいました。また、英語による2,3 分のスピーチが出されることがあるので、授業の内容やその日の出来事を口頭で要約することも習慣化しました。その際、文法や表現できない言い回しなどは、ネイティヴスピーカーの先生に確認し、自然な話し方の練習をしました。

Q3. 本学で身に着けたこと(在学中に英検1級取得など)は奨学金取得に役立ちましたか。
私は、りゅうぎん海外留学支援事業に応募し続け、3度目で合格しました。1度目、2度目の応募時は準1級で提出し、3度目の応募時に1級を取得しました。奨学金選考の条件ではないですが、少なからず書類選考時に評価して頂けたのではないかと考えています。
Q4. 本学を選んだきっかけはなんですか。

キリ学を選んだのは、城間仙子教授の同時通訳の授業を受けたいと思ったからです。
「英語の通訳者になりたい」と考えていた私は、高校3年時に先生に相談したところ、同時通訳に特化した授業や設備があることを教えてもらいました。また、規模が小さく、教授との距離が近いキリ学は、「英語をしっかり学びたい里穂にはとても良いと思うよ」と勧められ、キリ学で学びたいと強く思うようになりました。

Q5. 大学院をフィンランドにした理由はなんですか。

在学中から、「ジェンダー学・女性学の研究をしたい」、と思い北欧への留学を検討していたところ、フィンランドでこの分野が盛んに研究されていることを知り、興味を持ちました。フィンランドは、30代の女性首相が率いる、世界でも肩を並べるところはないと言われている教育の先進国です。また、学習到達度調査では世界1位、世界幸福度ランキングでも1位の国です。厳しい校則があり、周囲に同調・同化することが良しとされる日本の教育と違い、フィンランドでは「個性」や「違い」が重視され、多様性を評価することが教育の目的だと考えられています。そのような国で学びたいと思い、フィンランドに決めました。

Q6. 本学で身についたものがあれば教えてください。(コミュニケーション力、語学力等)

キリ学で身についたものは、言語面と社会面で2つあります。

言語面では、パブリック・スピーキングのスキルです。特に仙子先生の通訳・プレゼンの授業では、人前で話す時の態度や姿勢、アクセントやスピードなどを徹底的に学び、実践します。パブリック・スピーキング力を身につけると、他の授業に役立つだけでなく、社会に出ても、職場などで聞き手を意識した「伝わる話し方」が実践できます。

社会面では、マイノリティーの視点です。卒業研究では、「文化の盗用」について英語で論文を執筆し、マイノリティー文化の所有・マジョリティーによる盗用についてまとめました。マイノリティーの視点で社会をみると、構造的な差別や不平等が見え、生きづらさを抱えている人がいることに気づきます。数的には差がなくても、抑圧する側とされる側といった力の差による社会的なマイノリティーも存在します。マイノリティーと定義する要素は社会的・文化的・身体的・宗教的など多様で、誰でもある側面においては抑圧される少数派であっても、別の側面においては力を持つ多数派であることがあります。この学びは、大学院留学を決めることに繋がる大きな気づきでした。

▲これからOral Communicationの講義が始まります

▲キリ学祭にてフィリピン研修の発表

 
Q7. 本学で利用した奨学金制度を教えてください。

2016年、キリ学の提携校であるポートランドコミュニティカレッジに留学した際に、「正規留学派遣奨学金」「在学留学特別奨学金」を頂きました。

資格関連では、英検1級を取得し、「資格取得奨励金」と「TOEICスコアUP奨励金」を頂きました。

また、夏休みの集中講座や月曜礼拝での同時通訳などに積極的に参加していたこともあり、4年次には「山里恵子同時通訳奨励奨学金」を頂きました。

Q8. 在学時に印象に残っている授業名とその理由を教えてください。

Oral Communication III
1年次の1番最初だったのですが、ネイティヴスピーカーの先生による全て英語での授業で圧倒されたのを、とても鮮明に覚えています。教室内では、日本語禁止で、英語で書かれた教科書を使い、わからないことを質問するのも全て英語でした。毎週、いくつかのキーワードが与えられ、それについて英語でおしゃべりをするアクティビティがあり、1つのことについてある程度の内容を話せるようになりました。また、音楽を通して、歌詞の意味を読み取ったり、穴埋めをしたりなど、読解やリスニングの強化もできました。90分×週4回、英語漬けになることで、学期が終わる頃には、4月と比べ、会話や聞き取りが自分でもわかるほど上達し、驚いたのを覚えています。

通訳・同時通訳
キリ学を選んだきっかけにもなった同時通訳の授業は特に印象的でした。教材の音を聞いて、それをそのまま声に出して繰り返すシャドーイングは、それまで経験がなく、最初は難しかったのですが、トレーニングしているうちに徐々にできるようになりました。日英・英日の通訳スキルはもちろん、日本語力や、馴染みのない単語が出てきた際に、文脈から判断して自然に訳す力も身につきました。通訳関連の授業で、特に磨かれたのは、パブリック・スピーキングのスキルです。人前で話す時の態度や姿勢、アクセントやスピードなどを徹底的に学び、実践します。パブリック・スピーキング力は、他の授業に役立つだけでなく、社会に出ても、仕事などで応用できます。

海外ボランティア演習・実習
半年間、座学でフィリピンのことを勉強し、夏休みに実際に現地に実習に行く授業です。国際協力のあり方や、現在の問題点について学び、ボランティアとは何か、支援とは何かを考える授業です。フィリピンへ行くのも初めてだったので、スラム街を歩いたり、悪臭漂うゴミ山で裸足で作業する子どもたちを実際に見て、とてもショックを受けました。滞在中、1泊ホームステイをさせて頂きました。私のお世話になった家庭含め、現地のコミュニティの方々は、沖縄から来た私たちを優しく暖かく迎えてくれました。盛大にご馳走を用意し、歌や踊りを披露して頂きました。ホームステイ中、私はあまりの暑さに熱中症になり、倒れてしまったのですが、現地の子どもたちが、お水をくれたり、うちわで仰いでくれたり、と気にかけてもらったことがとても印象に残っています。観光旅行では決して行くことのない現地のコミュニティで、フィリピンの方々と過ごすことができるのはとても貴重な経験でした。

▲スラム街のゴミ山

▲気にかけてくれた子と。

 
Q9. 里穂さんが感じる本学の魅力を教えてください。

授業関連では、同時通訳の科目や設備が充実していることと、沖縄島の言語・歴史・文化に特化した授業が多いことです。留学を考える方は多いと思いますが、海外の人とコミュニケーションを取るには、自分自身のことや、地元のことをよく知っていることが重要なので、沖縄島のことを重点的に学べる授業は魅力的だと思います。またネイティヴスピーカーの先生方がもつ授業も多いので、活きた英語に触れることができます。週に1度、ネイティヴスピーカーの先生方とランチできる機会もあるので、英会話を強化されたい方にはおすすめです。

環境面では、規模が小さく、教員・職員の方々との距離が近いため、学びたい学生をサポートする環境が揃っていることです。私が「大学院留学をしたい」と相談すると、交流センターの職員の方が、奨学金の募集が始まった際に、資料を準備して下さり、個別にお声をかけて下さいました。交流センターや教務課の職員の方々には、卒業してからも、大学院留学に必要な書類を用意して頂いたり、相談にのって頂いたりとお世話になっています。先生方は、授業時間外に質問しても、丁寧に対応して下さいます。廊下ですれ違った時には、笑顔で名前を呼んで挨拶をして下さったり、外部で英語を使えるボランティアなどがある際には、お声をかけて下さいます。また、学内にはカフェがあり、フレンドリーなバリスタの入れる美味しいコーヒーや軽食を注文できます。私も、夕方の授業がある時などによく利用していました。進路相談をしたり、勉強したり、ランチをするのにも最適です。このアットホームな雰囲気はキリ学ならではの魅力だと思います。

▲3つの同時通訳ブースを備えた国際会議にも対応できる施設が整っています。

▲シャローム会館内のカフェでネイティブ教員とランチ。コーヒーを飲みながら勉強したりおしゃべりしたり様々

 
Q10. 受験を考えている高校生等へのメッセージをお願いします。

高校生や受験される皆さんの中には、大学院留学と聞くと、果てしなく遠い、手の届かないものという印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。「起業したい」「(特定の問題を)発信したい」など掲げる目標や、その達成に必要な時間は1人ひとり違うと思います。私は、どうしても大学院留学を叶えたかったので、奨学金事業に挑戦し続け、初めて応募してから合格するまでに3年間かかりました。書類選考すら通らず、挫折しそうになったこともありますが、諦めなくて良かった、と心から思っています。

私は特別優秀な学生だったわけでありません。英語は比較的得意な科目だと思っていましたが、いざ入学してOral Communicationなどのネイティヴスピーカーの先生の授業へ出席すると、最後まで何を話しているかわからないこともあり、何度も挫折しそうになりました。卒業後に、私のことを在学生に紹介する際、恩師の1人である教授に「入学時の彼女は本当に普通の学生だった」と言われたくらいです。(笑)親身になって進路相談にのって下さったり、いつでも学びの機会を与えて下さるキリ学の教員・職員の方々のサポートのおかげで、モチベーションをもって学び続けられました。

「丘の上にはなりたい自分が必ずいます。」というキャッチフレーズの通り、努力すれば必ずなりたい自分に出会えます。キリ学は、小さい大学ですが、教員との距離が近く、学びたい学生にとって、最善の環境だと思うので、進路に迷っている方もぜひ受験されて下さい。

▲ホストファミリーと(アメリカ留学)

▲アフタヌーンティー体験(オックスフォード研修)

 

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